香りの歴史は、人類が火を使い始めた頃にさかのぼります。人は、木や樹脂に、燃えると芳しい香りがあることを発見します。古代の人々にとって、火は神秘的な存在でした。立ち上る香煙は、神に願いを届けてくれるものだと信じられていました。そのため、香料の使用は神への薫香から始まりました。

古代エジプトでは、1日3回太陽神ラーを祭る際に香りを焚いていました。日が昇る時刻には「乳香」を、正午には「没薬」を、日没には安らかな眠りを誘う「キフィー」の薫香を捧げていたといいます。
 

乳香(にゅうこう)         没薬(もつやく)